ツールド沖縄 U39 100kmクラス9位 レースレポート

ついにこの日がやってきた。この一年、この日のために自転車活動の全てを費やしてきたと言っても過言ではない。コンディションもできうる限り最高の状態にしてある。負けられない戦いがここにあった。

ここでスタート前の諸データを。体重等は木曜の沖縄入り前に測ったので、若干違うかも。(ただ月曜に帰宅後、火曜の朝に測ったら図らずも出発前とほぼ一緒だった。)

エンジン:

身長:172cm, 体重:61.8kg, 体脂肪率(タニタ一般人モード):11.6%

直前の2minTT 435w(power weight ratio≒7w/kg)

こうして見ると、沖縄で上位を狙う人としてはややぽっちゃり系かもしれない。直前に埼玉サイクルプロジェクトのトミー君の体脂肪率をFBの投稿で見ていたので萎える。

機材:

フレーム:Focus izalco max, ホイール:BORA one TU, タイヤ:Vittoria CorsaG+, コンポ:Ultegra6870

ここまでは決戦用としては割と普通な組み合わせ。海外通販でバラまかれているせいか、レース会場でも30%くらいはBORAなような??

ギア:50-34T, 11-28T

これはよく「回し切っちゃうんじゃない?w」と言われる組み合わせ。いやいや、そんなことはない。10%越えの斜度で34-28Tの組み合わせだと、周りは強豪選手含め全員ダンシングしているのにシッティングで余裕で通過できる。スプリントで足りなくなることもない。確かに下りで75km/h出ているような時は回し切ってしまう感は否めないけど、それが不利に働くとは一切感じなかった。

補給食:マルトデキストリン約300g+水+食塩,クエン酸(少々)計約550g

ボトル:電解質飲料500ml×2本+芍薬甘草湯

当日のレース前までmag onや芍薬甘草湯をちびちび摂取して体になじませる(?)ようにしていた。

-----

国際レース、市民210km、女子レースを見送り、スタート位置へ。何やら後ろから市民140kmが迫っているらしい。こんな中でスタートして大丈夫なのか??案の定、スタート位置(左車線)で右車線にはみ出て待とうとしている人のスレスレの位置を140kmの先頭選手が通過していく。危ないなあ...

しかもスタートすると、右車線ギリギリにいた選手が全員モロ右車線に出て上がっていこうとする。まだ後ろに140kmのメイン集団が迫ってるのに...あぶねーよ!!という声がそこかしこで上がる。ここもそうだし、今年の沖縄はなぜか全体的にマナーも悪く(先頭集団の選手のくせに、堂々と補給食のゴミを投げ捨てんな💢)落車等で気が抜けないナーバスな雰囲気だった。

チームメイトのアタッカーとは最後まで絶対行こう、残れたら俺がリードアウト役な、という話でとりあえずまとまった(ような気がしなくもない)。

奥の上りは拍子抜けするほどあっさりと終わる。息をしながら足回してれば自然と集団先頭付近で超えられるレベル。つまるところ、全然セレクションがかからない。大集団のまま平坦区間へ高速で下る。事件現場はこの後待っていた。

11min30sec, Ave227w, NP251w(奥の登り)

f:id:Cycle_Training_Project:20171114210311p:plain

 

辺戸岬の小ピークを越え、最初のトンネルが迫る頃。今年はとにかく足を温存することを最優先に考えていて、危険回避を2の次にしていたのがまずかった。

斜め左前方で誰かがふらついたのが視界の隅に映る。本能的にフルブレーキ。直後、目の前で大落車が発生した。人や自転車が跳ねる。2車線が全て折り重なった自転車と人で埋め尽くされる。

こんなところで終わるのかーそんな考えが頭の片隅によぎりつつも、もはや粗大ゴミと化したであろう大量の自転車の手前で無事ギリギリ停止。と思いきや、後ろから突っ込まれて後ろの人もコケる。前後左右、自分以外ほとんど落車しているように見えた。多分、出走した7割方の人はこの大量落車で足止めを食ったのではないか。

アタッカーは前々で走っていたので多分無事だろう。自転車を引っ張り出して歩道に抜け出ると幸運なことに無傷。チェーン落ちのみ。これは行ける!体もどこも怪我がない。奇跡に近い。と思ったら左靴のアジャスターが壊れていた。以降100km、アジャスターがブラブラしている状態で走る。

f:id:Cycle_Training_Project:20171114211827p:plain

チェーン落ちを直して再スタート。先頭とは30秒差くらいか??1秒も無駄にできない。出し惜しみせずに500wくらいの出力で追い風に助けられて50km/hまで加速し、第3グループに飛び乗る。徐々に第2, 第1と差を詰め、与那の坂手前でなんとか振り出しに戻る事ができた。六本木も埼玉プロジェクトも、そしてアタッカーも健在。そして遂に与那の坂へ。昨年はここで千切れたのだ。

f:id:Cycle_Training_Project:20171114212325p:plain

結果から言えば、こう。

19min15sec, Ave251w, NP266w(与那の登り)

途中で意味不明の落車が1件あったことを除けばいたって平穏。おそらく例年よりも強度は低めだったと思う。どこかでアタックがかかるかな?と思っていたけど、一人逃げが出た以外は(これもそのうち捕まった)何事もなく登りが終わる。ホッと一息し1回目の給水ポイント。ここまでほぼサラ足に近い状態で来る事ができた。

だがアタッカーがややキツそうに見えたのが気になる。

今年の沖縄では全般的に、下りが怖かった。序盤の落車の記憶が頭にこびりついているせいもあるけれど、急に脇を猛スピードで捲っていく人がいたりするのでなかなか思ったラインを取れない(自分がシケイン状態なのか?)。思ったラインが取れないとスピードが落ち、さらに捲られる、そしてさらに、、の悪循環。昨年は下りで怖いと思ったことはなかったのに、今年はライディングテクニックが落ちたのか?今後の課題だ。下りでやや遅れ(と言ってもタイム差がつかない程度だけど)、平坦と登りで先頭に戻るのを繰り返してしまった。今後の大きな課題だ。

次の学校坂も要注意ポイントと思っていたらあっさり通過。

5min22sec, Ave295w, NP295w(学校坂)

もうちょっと240mをまとめて登る感じかと思っていたら、二つの上りの間で距離があって休める。しかも2つ目の登りは平坦と登りを交互に繰り返しながらいつのまにか登っている感じいつの間にかという感じでクリア。

7min55sec, Ave220w, NP237w(安部?の登り)

しかし、アタッカーがこの辺りで見えなくなる。アップダウンの繰り返しの箇所で、登りで番手を一気に下げていた瞬間があり「あれ?」と思ったけど、あの時に千切れてしまったのかもしれない。自分はというと、登りは余裕があったものの下りでナーバスになっており、アタッカーの生存確認をする余裕がなかった。

慶佐次の登りあたりからややキツさを感じるようになった。埼玉プロジェクトや六本木の選手が、少し集団を篩に落とす動作をしていたからかもしれない。

5min8sec, Ave273w, NP279w(慶佐次1つ目)

3min23sec, Ave277w, NP283w(慶佐次2つ目)

羽地に向かう平坦では若干牽制気味になり、それまでずっと前にいた六本木や玉プロも先頭交代を促すようになる。まだこの段階で30人くらいはいるか?今年は気温が低いこともあってか、沖縄としてはサバイバル感の少ない展開なのではないかと思う。もっと10人くらいに絞れていても良いのに、と思う。オカモトの川又選手はひたすら足を貯めている感じだし、六本木もいたって健在。玉プロのサラブレッド、藤田選手も全然疲れを感じさせない。この後の羽地で絶対にバトルが始まる...!!

大集団のまま羽地の登りへ突入。

序盤は動きが無かったが、もう死に体でくっついていた10人弱くらいはここで千切れていった、と思う。

そして5分の2くらい登り、道が緩やかに左にカーブするあたりでついに川又選手が動いた。右側に抜けてアタック。六本木と玉プロはきっちりマーク。そのまま10人くらいが先行する。自分は後方の15番手くらいにいたので、きつい中で先頭を追う。と、ここで急に右足ふくらはぎが攣り出した。

ヤバイ。

ここまで全く攣りの予兆が無かったので焦るが、右足をかばいながら一定ペースをキープ。すると左のハムストリングにも攣りの予兆が。

ヤバすぎる。

とにかくだましだまし、急なパワーは絶対に出さないように慎重に、それでもひたすら300w以上をキープして追走を続ける。先頭との距離は10mくらいあったが徐々に狭まり、トンネル付近でようやくジョイントに成功した。ここで先に50kmの部を走りきったタケさんからの声援があったのには「なぜここにいらっしゃるので!?」と混乱したけれど、それを力に変えることができた。ありがとうございます!

トンネル内で先頭集団からさらに1名脱落。

ここで気をぬくな、まだ次にヤバイ登りがあるぞ、と自分に言い聞かせる。その登りは沿道の観客の声援がすごいし、道にはチョークで今日という日のためにマークされた言葉や絵が連なっていて、先頭集団で最後の勝負どころを登っているという事実もあいまってさながらラルプデュエズを登ってる気分!(登ったことないけど)

去年だったら考えられない。テンションが上がるも、再度かかった川又選手のアタックに虫の息でついていく。強い。もう千切れたいけど、普段の練習で口の中に広がる血の味は今日はまだこない。だからまだ行けるはずだ。練習はもっときつかったんだ。こんなんで絶対に千切れねーぞ!

4min50sec, Ave302w, NP304w(羽地の登り)

f:id:Cycle_Training_Project:20171114225444p:plain

(2回ダンシングをしている箇所が川又選手のアタックポイント。青線が途切れている箇所がトンネル。)

登りきった。あとは下りでやらかさなければ最後まで行ける。

下りを無事にやり過ごし、川上交差点を超えて名護の市街へ。ここまで強さを見せた六本木の選手は、下りでパンク?したらしく、運悪く脱落。結局最後のスプリントには13人が残った。

名護の市街は追い風もあって45km/h~50km/h近い速度で巡行状態が続く。もう後続をきにする必要もない、この中から優勝者が決まるのか〜と思うとテンションは高まるけれど、と同時に一緒に100km走ってきた同志のような妙な一体感も感じる。ライバルであり、仲間。これまでの走りでこの中で誰が強いかはもうわかってるし、最後のスプリントはオマケだよね。なんだか最高の気分。昨日までいた名護の街に戻ってきたこの不思議な感じは、大げさだけどグランツールシャンゼリゼに戻ってきたプロツアー選手たちも感じるのかな??

イオン坂ではアタックは一切かからず、淡々と300wで踏むだけ。ラスト1km、「ここまできて落車は無しだぞー!」と誰かが叫ぶ。「おー!」と誰かが答える。この一体感のある集団で落車はまず起きないだろうな、と根拠のない安心感を感じる。足は攣りそうな雰囲気を残しているけど、あとは精一杯やるだけだ。

残り500m。短距離のスプリントで差せる気はしないので、早めに前方に出る。残り400mでロングスプリント開始!1、2人には差されるかもしれないけど、ここまできたら絶対に目指せ表彰台!

 

ピッキーン!!!!

 

一気に両足のハムストリングがつって完全硬直。後方の人に危険回避を促すため、そして悔しさを吐き出すために「うぎやあぁぁぁ!!攣ったあああ!!!!」と叫んでバックファイア。ここで数人に一気に捲られてしまった。これで集団最後尾で終わるのか...と思ったけれど、踏む足を一瞬緩めると硬直した足がわずかに動く。動くならここで終わってなるものか、と痛みを堪えつつ、再度完全硬直しないように気をつけながら踏み続ける。最後は2秒差以上つけた玉プロの藤田選手が、はるか前方で両手を上げたのを見ながら、2人ほど捲ってゴールした。

ゴールラインを超えたあと、達成感と敗北感の入り混じった気分の中、一緒に走った面々と健闘を称え合う。ここにいた全員が自分と同等か、自分よりもはるかに強かった。特に川又選手と藤田選手、そして最後に遅れてしまいはしたけれど六本木の選手は本当に強く、そしてクレバーな走りで存在感を放っていた。来年は彼らのようにレースをコントロールできるくらいに強くなって必ずリベンジしたい。

レース全体

106.8km, 2h57min, 獲得1600m, Ave35.0km/h, Ave178w, NP228w

-----

あとでデータを見返すと、攣った瞬間から数秒の間に45km/hから43km/hまで減速している。攣った時は400w弱しか出ておらず、一瞬踏み止めてから再度踏み始めてからゴールラインを超えるまでは380w強程度。それで43km/hから50km/hまで加速している。

今回のスプリントのためにというわけではないけれど、107km全区間を通じて大腿四頭筋は一切使わなかったので、ここまでサラ足状態で残っていた。そして最後のスプリントは周り全員(1位の玉プロの藤田選手を含め)「正直言ってヌルい速度」だった。タラレバだけど、足が釣らなければサラ足状態でキープした大腿四頭筋を使って上位に入れたのは間違いないと思う。

もう少し、ハムストリングのみに頼らずに走っていれば、あるいは攣らずに結果は変わっていたかもしれない。それに、足攣り予防のための補給戦略はもっと見直すところがあるはずだ。

今回のレースは本当に学ぶところが多かった。とにかく本気で、このレースのためだけの練習と試行錯誤を続けたおかげで、その正しかったところ、間違っていたところ、まだ足りなかったところ、色々身にしみて見えたからだと思う。

まだまだ、自分は強くなれるはずだ。

来年の沖縄まであと1年ある。でも、もう1年しかないと言い換えることもできる。全ては気持ちの持ちよう次第。

来年のツールド沖縄はもう始まっているのだ。